妊娠初期の頭痛は風邪?原因と対処法! |
妊娠初期の対処法として『つわり』がよく知られていますがよく知られていますが、 他にも腹痛や腰痛など様々な初期特有の症状があります。 実は、頭痛もその一つ。
ズキズキと頭痛を感じる場合は、妊娠超初期のサインかもせれません。 ここでは、妊娠初期に起こる頭痛の原因や対処法などについてお話します。
アサミ:『妊娠初期に頭がズキズキ痛むことが増えたように思ったんですが、どうしてでしょうか?』
妊娠初期の頭痛は、ホルモンバランスの変化が原因の可能性があります。 排卵後に妊娠しやすい体を作るため、黄体ホルモンが増え、卵胞ホルモンが減りますが、この女性ホルモンの変化が痛みのキッカケにも繋がります。
ここでは、『女性ホルモンのはたらき』と『頭痛になるメカニズム』について解説します。』
女性ホルモンとの分泌量が頭痛の原因
女性ホルモンには、黄体ホルモン(プロゲステロン)と卵胞ホルモン(エストロゲン)の2つがあり、月経と連動して一定の周期でそれぞれの分泌量が増減しています。
●基礎体温を上げる(高温期)
黄体ホルモンには体温を高める働きがあり、受精・着床しやすい体づくりに繋がります。
十分に分泌されない場合は、基礎体温が上がらず高温期が長く続きません。
●丈夫な子宮内膜を保つ
受精卵が子宮内膜に着床するには、子宮内膜の厚みが1mm程度あることが理想的です。
排卵後に増加した黄体ホルモンは、子宮の血流量を上げて、厚みのある丈夫な子宮内膜を保ちます。
●体内の水分量を維持する
黄体ホルモンは、妊娠に備えて『水分』や『栄養素』を体内に蓄積する働きがあります。
一方、腸内の水分も体内に吸収し、大腸のぜん動運動を低下させることから、便秘に陥る原因でもあります。
●乳腺を発達させる
妊娠中の急速な乳腺が発達は、プロゲステロンや(エストロゲン・プロラクチンなどの働きによるものです。
●食欲を増進させる
多くの女性は、月経が始まる直前に食欲が増える傾向にあります。
これは、生理前に増加する黄体ホルモンが原因と言われています。同時に、水分や栄養素を溜め込みやすい時期であることから、ダイエットをしてもあまり効果が出にくい時期でもあります。
●女性らしい体をつくる
エストロゲンは、妊娠に備えて厚い子宮内膜を作り、着床・妊娠しやすいカラダづくりのサポートをしています。
●自律神経を整える
視床下部は自律神経のはたらき(循環器、消化器、呼吸器などの活動)をコントロールしています。
エストロゲンが減少しやすい更年期は、自律神経が乱れがちになりホットフラッシュ(のぼせ、ほてり、発汗)や動悸の原因にもなります。
●健康な骨の形成
エストロゲンは、カルシウムの吸収をサポートし、
新陳代謝を繰り返す骨を丈夫に保っています。
●基礎体温を下げる
エストロゲンには血管を拡張し熱を発散させる働きがあります。
そのため、エストロゲンが多く分泌される排卵期の直前は、体温が下がる傾向にあります。
女性ホルモンとの分泌量が頭痛の原因
排卵期を過ぎると、卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌量が減少しますが、同時に脳内のセロトニンも減少します。
このセロトニンには血管を収縮をコントロールしたり痛みを抑えるはたらきがあるため、排卵期後のセロトニンの減少が、頭痛を引き起こす原因になっています。
アサミ:『妊娠してから以前より頭痛になりやすくなったのですが、この症状はいつまで続くのでしょうか?』
妊娠初期特有の頭痛はホルモンバランスが原因の1つですが、一般的に妊娠中期前まで症状が続くようです。その他の原因も含め頭痛が続く期間について解説します。
頭痛は妊娠中期にむけて治る傾向に
妊娠初期(妊娠4週〜15週)は、頭痛になりやすい期間です。 頭痛になりやすい期間は個人差もありますが、妊娠12週〜15週になるとホルモンバランスが安定し、少しずつ症状が治っていきます。
ただし、妊娠初期の頭痛はホルモンバランスだけではありません。 つわりや血行不良、運動不足になりがちで、十分に食事を摂れなくなる上に、胎児の成長のためにヘモグロビンを多く消費することで、鉄分が不足してしまいます。 妊娠初期に起こる貧血の多くは『鉄欠乏症貧血』ですが、頭痛やめまいの原因でもあります。
また、安定期に入った妊娠16週以降は、少しずつつわりも納まりますが、鉄分不足になりやすい期間が続くため貧血が原因の頭痛には気をつけなくてはいけません。 毎日の食事や、サプリメントで鉄分を積極的に摂ることも頭痛改善のポイントです。
アサミ:『たとえ、妊娠初期が頭痛になりやすい時期だとしても、風邪を引いて頭が痛い場合だってありますよね?もし私でも簡単に分かる見分け方があれば教えて欲しいです!』
『確かに、頭痛の原因が妊娠初期症状だけだとは言い切れませんよね。頭痛や発熱など、風邪と似た症状もありますから、見分けるポイントを覚えておくことが大切です。』
風邪とよく似た妊娠初期の症状
妊娠初期は黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌量の増加に伴い、高温期が続くことから微熱のようなほてりやだるさを感じることがあります。
妊娠している場合は、風邪薬で症状は治らない上に、胎児の敏感な妊娠初期に薬を服用してしまうことになります。 もし、妊婦または妊娠の可能性のある方は、風邪と断定せず、ご自身の症状の原因を突き止めることが必要です。
●頭痛
●発熱(微熱)
●だるさ、疲労感
●嘔吐(吐き気)
●くしゃみ
●鼻水
風邪と妊娠初期症状を見極めるポイント
もし、咳や喉の痛みがあるような場合は、ウイルス感染を原因とした風邪の可能性が高いと言えます。
鼻づまりや鼻水出ていつ場合は、風邪の可能性が高いと言えます。 しかし、女性ホルモンの変化によって、鼻の粘膜を刺激し『妊婦性鼻炎』になっている場合もあります。 妊婦性鼻炎の時の鼻水はサラサラした状態ですが、風邪の時はドロドロとした黄緑色の鼻水ですので、判断基準として覚えておきましょう。
アサミ:『妊娠中は赤ちゃんへの影響が心配なので、できるだけ薬の力に頼らず治したいです。もし簡単に試せる対処法があれば教えて欲しいです。』
『妊娠初期は胎児がデリケートな時期。ホルモンバランスが原因のちょっとした頭痛なら、痛み止めを飲まずに治したいですよね。では、頭痛のタイプ別に対処法を解説しましょう。』
片頭痛は『血管の拡張』、緊張型頭痛は『筋肉の収縮』が原因です。 どのタイプの頭痛なのかによって対処法も違います。 ご自身の症状から、正しい対処法を選びましょう。
片頭痛の症状と対処法
主な症状
●ズキズキと波打つような痛み
●月に1,2回程度の頻度で起こる
●体を動かすとカンガンと頭に痛みを感じる
●頭痛の前触れに、チカチカと光が見える
原因
片頭痛のメカニズムは、はっきりと解明されていませんが、頭蓋骨内の血管が広がり炎症を起こしていることが原因とされています。
対処法
頭痛が起きている時は、血管を広げないよう入浴や運動・マッサージなどを控えましょう。
血管の広がりを抑えるため、痛みのある部分を冷やし、安静にすると効果的です。
緊張型頭痛の症状と対処法
主な症状
●後頭部を中心に頭全体が重く締め付けられるような痛み
●毎日のように一日中、一定の鈍い痛みがある
●肩や首の痛みを感じる
●めまいを感じる
原因
長時間のデスクワークで同じ姿勢を続けたことや、精神的なストレスによって、血行不良を引き起こし、頭や首回りの筋肉が緊張することが原因です。
対処法
蒸しタオルで首回りを温めたり、ストレッチやマッサージ、入浴をすることで、筋肉の緊張がほぐるため、効果的です。
また、長時間に渡って同じ姿勢を続けないように、軽い運動を行うことや、ストレスをためない生活を心がけましょう。
アサミ:『妊娠前は、頭痛になった時でも市販の頭痛薬で痛みを抑えていたんですが、赤ちゃんがお腹にいると思うと、簡単にお薬に頼れません・・・。頭痛薬って、やっぱり飲まないほうがいいんですか?』
『薬局などで販売している頭痛薬には、妊娠中は禁忌または注意が必要な成分が含まれているものがあります。特に妊娠後期には、服用してはいけない頭痛薬もあります。
赤ちゃんへの影響を与えないためにも、妊娠中に避けたい成分と、実際に含まれている市販薬について学んでいきましょう。 』
妊娠中に服用NGの頭痛薬の成分
市販の頭痛薬は『痛みを抑える』という共通の効能がありますが、製品によって配合されている成分は違います。
医薬品のパッケージには、効能・成分・用法用量などの製品情報や使用上の注意が記載されていますが、一般的に、『妊婦』『妊娠していると思われる人』『授乳中』の方の服用は医師へ相談することを推奨されています。
その上で、実際に妊娠中にはどんな成分の服用を避けるべきか、どの頭痛薬に含まれているのか知っておくことが大切です。 ここでは、妊娠中に避けるべき3つの成分を解説します。
効能
アスピリンは、痛みの原因であるプロスタグランジンの生成を抑えます。軽度から中程度の痛みに効果があるとされています。
配合されている市販薬
バファリンA、エキセドリンA錠、ケロリン
胎児への影響
アスピリンによる、催奇形性(妊娠中の女性が薬物を服用したときに胎児に奇形が起こる危険性のこと)は現在のところ否定されていますが、長期連続して服用した場合は、新生児の体重減少や難産・流産・死産などのリスクが高まる恐れがあると言われています。特に、妊娠後期の禁忌とされているため服用を避けましょう。アスピリンの配合されている『バファリンA』や『ケロリン』の注意事項にも、出産予定日12週間以内の妊婦の服用は禁忌(やってはいけないこと)と記載されています。
効能
イブプロフェンは、痛みの原因であるプロスタグランジンの生成を抑えます。強い解熱・鎮痛・抗炎症作用を持ち、痛みや腫れなどの症状を抑えます。アスピリンより作用が強力で、子宮への移行が早く、生理痛にも効果的です。
配合されている市販薬
ノーシンアイ頭痛薬、バファリンプレミアム、バファリンルナi、ノーシンピュア、ノーシンエフ200、イブA錠、イブA錠EX、イブクイック頭痛薬、イブクイック頭痛薬DX、ナロンエースT、ナロンエースR、ナロンメディカル
胎児への影響
妊娠中にイブプロフェンを服用した場合の影響は、動物実験の結果から胎児の動脈管収縮などのリスクが高まると考えられています。
アスピリンと同じく、妊娠後期の服用は禁忌とされており、イブプロフェンの配合されている『イブA錠』や『バファリンプレミアム』の注意事項にも、出産予定日12週間以内の妊婦の服用は禁忌(やってはいけないこと)と記載されています。また、同様に授乳中も服用を避けるよう必要があります。
効能
ロキソニンは、痛みの原因であるプロスタグランジンの生成を抑えます。
解熱・鎮痛・消炎作用にがあり、頭痛のほか歯痛など多くの痛みに有効です。
胃への負担が大きいことから、胃粘膜保護成分として『乾燥水酸化アルミニウムゲル』などが配合されることがあります。
配合されている市販薬
ロキソニンS、ロキソニンSプラス、ロキソニンSプレミアム、バファリンEX、エキセドリンLOX
胎児への影響
現在のところ、ロキソプロフェンを妊娠中の使用に関する安全性は確立していないものとされています。
妊娠後期の服用は禁忌とされており、ロキソニンの配合されている『ロキソニンS』の注意事項にも、出産予定日12週間以内の妊婦の服用は禁忌(やってはいけないこと)と記載されています。
妊娠中でも比較的に影響が少ないとされる頭痛薬
効能
アセトアミノフェンは、効き目の穏やかな解熱鎮痛成分です。
皮膚の血管を広げて熱を発散したり、頭の痛みの感受性を低下させる効果があります。熱や痛みそのものではなく、主要な症状を軽減する『対処療法』としての作用を持ちます。
『お子様用の頭痛薬』や『小・中・高校生用の生理痛・頭痛薬』などに配合されることがあります。
配合されている市販薬✳︎1
タイレノール、ノーシン錠、ナロン顆粒
胎児への影響
アセトアミノフェンについて、近年妊娠後期使用による胎児動脈菅早期収縮の報告がありましたが、エビデンス(根拠)が非常に弱いため、現在のところアセトアミノフェンによる動脈菅収縮の作用はないと考えられています。
そのため、比較的安全性のある解熱鎮痛剤として、妊娠中はアセトアミノフェンを勧められる事があるようです。
一方で、『タイレノール』『ノーシン錠』の注意事項には、妊婦または妊娠していると思われる人に向けて、医師への相談を推奨する記載があります。
✳︎1:アスピリン、イブプロフェン、ロキソニンを含むものを除く