妊娠中期〜後期は便秘と下痢になりやすい?原因と対処法! |
妊娠中期〜後期は、ひどい便秘や下痢に悩む妊婦さんも多いです。 安定期を過ぎたとはいえ、子宮まわりの不調は、赤ちゃんに影響がないか心配になってしまいますよね。
ここでは、妊娠中期〜後期に起こる『便秘』と『下痢』の原因から対処法までをお話します。
マイ:『妊娠後期にさしかかる頃、ひどい便秘を繰り返すようになりました。妊娠前は、便秘に悩みことはありませんでしたが、3日間でないことも珍しくありません・・・。』
妊娠中期から後期にかけて、ひどい便秘に悩まされる妊婦さんは多いです。では、その代表的な2つの原因を解説しましょう。
①胎児の成長で、大きくなった子宮が大腸を圧迫
お腹の赤ちゃんが成長するにつれて、大きくなった子宮が腸を圧迫します。 腸の通り道が狭くなると、便の排出が滞る原因になります。
②黄体ホルモンが腸の動きを抑制
妊娠中期〜後期の便秘は、女性ホルモンの分泌量が原因なることがあります。 黄体ホルモン(プロゲステロン)は子宮の環境を整える作用があり、妊娠8〜9ヶ月まで分泌量が増加し続け、臨月(妊娠10ヶ月)に入ると減少します。
この黄体ホルモンには、腸の働きを抑える働きがあるため、分泌量がピークを迎える妊娠8〜9ヶ月は特にひどい便秘に悩まされる妊婦さんが多いようです。
マイ:『便通の話ばかりで恥ずかしいのですが・・・、ひどい便秘が終わると、今度は下痢に悩まされます。これって妊娠と関係あるんでしょうか?』
妊娠後期に入ると下痢を併発する妊婦さんもいます。 これは、胎児が成長するにつれて大きくなった子宮が胃や小腸・大腸を圧迫することで、食べたものを消化する機能が低下していることが原因です。
胎児の成長のため、妊娠中は普段より食事量が増えますが、特に胃や腸が弱っている妊娠後期などは、十分に消化ができず下痢になりやすい期間です。
子宮が腸を圧迫し、消化機能が低下する
妊娠後期に入ると下痢を併発する妊婦さんもいます。 これは、胎児が成長するにつれて大きくなった子宮が胃や小腸・大腸を圧迫することで、食べたものを消化する機能が低下していることが原因です。
胎児の成長のため、妊娠中は普段より食事量が増えますが、特に胃や腸が弱っている妊娠後期などは、十分に消化ができず下痢になりやすい期間です
ストレスが原因?自律神経の乱れから起こる下痢
妊娠中は、ホルモンバランスや体の変化が大きく、職場や家庭での生活に負担を感じることも多いでしょう。 実は、そんな妊娠中のストレスも、下痢になる原因の1つ。
自律神経には、腸のぜん運動(筋肉の収縮で便を排出する動き)を抑制させる『交感神経』と、腸のぜん運動を促進させる『副交感神経』があります。
普段は、この『副交感神経』が活発になることで便意を感じ、正常に排便をしています。しかし、ストレスなどを原因に自律神経が乱れると、副交感神経が活発になりすぎ、過剰にぜん運動をすることで下痢を引き起こします。
マイさん、妊娠がわかってから食生活など、いろいろと気をつけるようになったんじゃないかなと思いますが、どうですか?
マイ:『食事の栄養バランスを気をつけたり、病気や怪我をしないよう気をつけるようになりました。産休に入ってからは特に運動量が減った気がしますねぇ。』
運動量や普段どんな姿勢が多いかなども、実は便秘の原因になることがあります。もし、ご自身の生活習慣が原因なら見直すことが大切です。
生活習慣が原因の便秘、3つのタイプ
妊娠によるホルモンや体の変化意外にも、ライフスタイルや職場や家庭での過ごし方も、便秘の原因になることがあります。 妊娠前から便秘がちな女性は珍しくありませんし、産休に入り生活パターンが変化した方も要注意です。
これからお話しする、便秘の3つのパターン。ご自身の生活習慣に当てはまるものがあれば、改善することをお勧めします。
結腸で全運動が弱いと、便を先に送り出せなくなり、便秘が起こる。
●こんな人は注意
デスクワークの時間が長く、体を動かす機会が少ない人。
ぜん動運動が強くなり過ぎて、腸がけいれんを起こし、便がスムーズに送られなくなる。
●こんな人は注意
職場や家庭でストレスが多い人。リラックスするのが下手で、常に緊張が抜けない人。
排便のリズムが乱れていると、便が直腸にたどり着いても、便意が起こらない。
●こんな人は注意
朝、化粧や身支度に時間がかかり、トイレタイムをキープできない人。職場のトイレでは恥ずかしくて排便できず、便意を我慢してしまう人。
出典:大正製薬 便秘の仕組みについて
マイ:『妊娠してから便秘に悩まされるようになりましたが、妊娠中の便秘っていつまで続くんですか?』
妊婦さんによっても個人差はあるようですが、妊娠初期症状として便秘になる方もいれば、中〜後期にかけてひどい便秘に悩まされる方も多いようです。 今回は、便秘になったタイミングやひどかった期間など、統計を元に解説したいと思います。
まず、妊娠出産時に妊娠前と比較して便秘になったと感じている方は68%。
3人に2人が『便秘になった』と感じています。
原因は妊婦さんによって異なりますが、
女性ホルモンの分泌量増加や、運動不足など、妊娠中は便秘になりやすい時期です。
便秘になった時期として最も多いのが『妊娠中期』の37%、次いで2番目に多い『妊娠後期』の30%です。
これは、妊娠してから増え続ける女性ホルモンの分泌量や、大きな原因として考えられます。
また、妊娠初期症状として便秘になることも珍しくはありません。
産前産後で、便秘が特にひどかった時期は、『妊娠後期』の47%と全体の約半数。
妊娠後期は大きくなった子宮が腸を圧迫するため、多くの妊婦さんが辛い便秘に悩まされるようです。
また、妊娠8〜9ヶ月にピークを迎える黄体ホルモンの分泌量なども原因になります。
最も多かった『最長で4〜6日便が出なかった』という方の割合が49%と約半数。
次いで、『最長で1〜3日便が出なかった』という方が35%。
少数派ではありますが、7日以上便が出ない方も珍しくないようです。
長期間に渡って便が腸に溜まることで、便の水分が腸に吸収され硬い便に。
カチカチの硬い便は、一層排便が難しくなる上、肛門周辺の血管に負担をかけ痔の原因にもなります。
マイ:『あまり便秘がひどい時は、下剤にも頼りたいのですか、お腹の中の赤ちゃんに影響が出ないか心配です。』
下剤にもいくつかの種類がありますが、今回はその中でも比較的に赤ちゃんや妊婦さんに影響が少ないものを紹介したいと思います。
妊娠中に比較的安全性の高い下剤
妊娠中は、胎児や母体に負担がかからないよう、薬選びも慎重にしたいものです。 母親が服用した薬の成分は、胎盤を通って胎児にも影響することがあります。
ここでは、便秘薬の中で比較的安全とされている、『ピコスルファートナトリウム』を主成分としたラキソベロンと、『酸化マグネシウム』を主成分としたマグミット錠について解説します。
刺激性下剤(ジフェニルメタン系)
主成分:ピコスルファートナトリウム水和物
働き:大腸の細菌によって分解された物質が大腸のぜんどう運動を活発にして、排便を促進します。大腸での水分吸収を抑えることで、柔らかい便のまま排便することを促します。
安全性:ラキソベロンは胃や小腸では吸収されず、大腸だけでピンポイントに作用し、そのほとんどが排便されるため、胎児や妊婦への影響は少ないと考えられています。
化学合成成分でありながら、植物成分よりも優しい効き目が特徴のラキソベロンですが、長期的に使い続けることでクセになることも。腸が刺激に慣れてしまうと、下剤なしでの排便が難しくなります。また、飲みすぎることで下痢の原因にもなるため、服用量には注意が必要です。
*ラキソベロンの、使用の際は自己判断で服用せず、医師に相談しましょう。
塩類下剤
主成分:酸化マグネシウム
働き:結腸や直腸の粘膜にピンポイントで作用し、腸のぜんどう運動を促します。 また、結腸での水分吸収を抑えることで排便をしやすくします。
安全性:マグミット錠は『酸化マグネシウム』を主成分としているため、昔から産婦人科などでも処方される、安全性の高い下剤です。
結腸や直腸で選択的に作用するため、マグネシウムの血中濃度への影響もほとんどありません。 過剰に服用しすぎることで、『子宮収縮』が促進される可能性がありますので、用法用量を守って服用しましょう。
*マグミット錠の、使用の際は自己判断で服用せず、医師に相談しましょう。
マイ:『妊娠中はお腹の赤ちゃんへの影響にも配慮して、できるだけお薬を使わず便秘を治したいです。毎日の生活でどんなことに気をつけたらいいでしょうか?』
妊娠中は便秘になりやすい時期ではありますが、食事や生活習慣を見直して便秘の症状を軽減・解消さすることも大切です。ここでは『食事』と『生活習慣』で気をつけたいことを解説します。
食事の習慣から改善
『不溶性食物繊維』『水溶性食物繊維』をバランスよく摂取しましょう。 不溶性食物繊維は、腸に吸収されず腸内で膨張し、排便を促します。 水溶性食物繊維は、便を柔らかくし、排便をしやすくします。
ビフィズス菌は『腸のぜんどう運動』を促進、オリゴ糖は『善玉菌の活性化』をサポートします。
水分の摂取量が足りないと、腸は十分に働くことができません。 また、適量の水分をとることで大腸で便が硬くなるのを防ぎます。
1日3食の規則正しい食生活を心がけましょう。 腸の動きが活発な朝に食事をすることで、便秘の改善につながります。
生活環境から改善
睡眠時には、腸の動きを促進する『副交感神経』が活発になります。 睡眠時間が十分に取れないと、副交感神経が十分に働くことができないため、便秘の原因になります。 1日7時間程度の睡眠をとって、正常な腸の働きを取り戻しましょう。
リラックスした状態で働く副交感神経は、腸の機能を活発にして、排便を促します。 緊張やストレスを感じている時は、この副交感神経がうまく働きません。 趣味など好きなこと楽しんで、ストレスを発散させたり、お茶を飲みながらゆっくりとした時間を過ごしましょう。
血行不良で腸が冷えると、腸の働きが十分に発揮できず、便秘の原因になります。 お風呂につかったり、マッサージをして血流をよくすることで、腸のぜんどう運動を促しましょう。